捕らわれた竜騎士


今日もまた平和なブルメシア
雨も今日は降ってはいなかった
今日の彼女はというと・・・
寝ています・・・
「後5分・・・・・」
だめです・・・?(遅刻しますよ・・・)
彼はというと・・・・
「う〜ん??」
何か考え事だった・・・・
「すべきか待つべきか・・・」
何かに迷うフラットレイ
彼の目は何時に無く真剣だった

昼頃だった
フラットレイは何かを思ったのか家を出て行った
ただ一言
「今すべきだ」
と言っていた・・・・
そうここまでくれば彼らの幸せはただ1つ・・・・
パックは相変わらずのやんちゃぶりでフラットレイを気にしたのか後ろをついていった
考え事をしていたフラットレイはまったくそんなことはきずかなかった
「あいつはこんな昼まっからどこへ行くんだ??」
と言っているパックもかなり暇そうだった
とついたのはとある店だった・・・
「とうとうフラットレイもエンゲンジリングとか言うやつを・・・」
(それを言うならエンゲージリング??エン源氏リング??)
パックはどきどきしながらフラットレイが入っていくのを見た
「これは大変だ!!!」
何を思ったのかパックは慌てて走っていった
「ふ、フライヤは知ってるのかな??!!」
パックはかなり離れた学校まで全力で走った
やはりまだ授業は行われていた
パックははあはあと息をしながら授業が終わるのを待った
「(ん??いきなりこんなとこに来てなんて言えばいいんだろう・・・・
  やっぱ知らなかったんなら知らないほうがいいわけだし・・・
  いまさら帰るわけには行かないし・・・・・
  言うって言っても間違ってたらフライヤに悪いし・・・??
  ああどうしよう!!!)」
そうこうしてるうちに授業は終了してフライヤがやってきた
「どうしましたパック王子??ずいぶん急いできたみたいですけど・・・」
「いや・・別に暇だったから・・・」
聞けずとおろおろするパック
フライヤは不思議そうな顔をしてパックを見ていた
「そのさ・・・・フライヤって・・・・」
「?」
「いや!!やっぱいい!!じゃ!!」
パックは聞こうと思ったがやはり聞けずに急いでその場を去った
「あ、パック王子!!・・・・・・・・・・・・・・・
 いったいどうされたと言うのじゃ??」
フライヤはどうしてもと言うなら自分から聞いてくるだろうと思い次の授業の用意をしに行った



店から出てきたフラットレイ
手にはやはり例の物が握られていた
「え〜っと後は・・・」
フラットレイは何かを探すようにふらりとあるいていった

はあはあ・・・・
パックはまた息を切らし一人立っていた
「ああやばかった・・・・今日は家に帰ろ・・・きっと明日が山だなふふふ・・」
たくらみの耐えないパック
もう少し子供らしくはできないのだろうか??

フラットレイが来たのは涼しげな森だった
「パック王子は今日はどこへ行ったのだ」
フラットレイはパックを探していた
ここはパックが良く訪れる近くの森だった
「おい、フラットレイ、こんなとこで何やってんだ??」
「あ、パック王子こんなとこにいましたか」
「ん??俺を探してたの??実は俺も探してたんだ・・・・・」
その瞬間パックの指先からまぶしいほどの光が放たれた
「く・・・なんだこれは・・・」
光が消えると同時にフラットレイがその場に倒れこんだ・・・・
「成功か・・・他愛も無い・・・・・」

「あれ??」
いつもより少し遅く終わったフライヤは慌てて門まで走ってきた
いつもならすでにフラットレイが待っているはずなのに今日は居なかった
「パック王子も変だったけどフラットレイ様も今日はどうなさったんでしょう・・」
しばらくフライヤは待っていることにした
多くの人が自分の前を通り過ぎていった
その人ごみの中に彼の姿は無かった
今日はひどく疲れたのかフライヤはその場にしゃがみこんで目をつぶった

しばらくしてだった
フライヤは何かにきずきパッと目を覚ました
顔をあげるとそこにはフラットレイの姿があった
「あ・・・!!すいません!!ついうっかり・・・・・」
そう言うとフラットレイは黙ってフライヤのほうへ歩み寄ってきた
「どうかしましたか??」
フライヤは首をかしげていた
フラットレイはフライヤの目の前までくると彼女を突き飛ばした!!
「きゃ!!」
バン!!音と同時にフライヤの横にフラットレイが手をついた
そこにはいつものような優しい、温かい瞳ではなかった
フライヤは異常にきずきすぐさまフラットレイ元を離れた
「フラットレイ様!!?」
彼はフライヤのほうを向いた
右手にはしっかりと槍が握られていた
フライヤも槍を握りしめた
フラットレイが襲い掛かってくる
フライヤは軟体と槍を使いフラットレイの攻撃をかわす
彼の攻撃は一向に止まろうとはしない
今は槍をよけられようともいつまで持つか分からない
「いったいどうすれば・・・・」
周りには多くの人が集まってきた
人々はフラットレイの様子にはまった気がついてはいなかった
そしてとうとうフライヤの手から槍がはじき飛ばされた
そこへパックが何事かと駆け寄ってきた
「おい、どうしたんだ!!」
パックは今日のさまざまな出来事からして明らかにフラットレイの行動がおかしいことに気がついた
それにパックにも彼の瞳はいつものような暖かな物でないことに気がついた
「フライヤ!!どうなってんだ!!?」
「私にもわかりません、ただ・・・」
その言葉を聞いて周りにもざわめきが聞こえ始めた
「おい、いったいどうなってんだ??」
「2人で腕試しをしていたんじゃないのか??!!」
「お前ら何言ってんだよ!!あれはフラットレイじゃない!!」
パックはとっさに怒鳴った
「違います・・・彼は確かにフラットレイ様です!!けれども・・・」
フライヤが叫んだ


状況はさらに悪化する
疲れ果てたフライヤにさらに襲い掛かる変わり果てた愛しい人
一般市民では彼にかなうものなどなくただ見ているしかなかった
背中まで伸びたフライヤの髪の毛が左右に激しく揺れ動く
槍は目の前にあったがとる隙さえなかった
何とかして間合いを取ろうとするフライヤ
疲れきったフライヤは一瞬体勢を崩した
もちろん彼はそれを見逃さなかった
その時何かが切れるような音がした
はらりとフライヤの肩から落ちてゆく
縛り上げられた髪が切断された
フライヤは肩までになった髪を手でそっと確かめた
「フライヤ!!なにぼけっとしてるんだよ!!」
パックの声も遅く一瞬の隙にフライヤの胸元へ飛び込むとその中心を向けて槍の矛先とは逆の方で突き刺す
「くあ・・」
真に攻撃を受けたフライヤは数メートル後ろへ飛ばされた
強く背中を打つフライヤ
「げほっげほっ!!」
腹を押えむせるフライヤ
さらにそこへ近ずくフラットレイ
フライヤはなんとか立ち上がろうとするが力が入らない
苦しむフライヤを見下ろすフラットレイ
なぜか彼は槍でとどめを刺そうとはしない
ただ手が震えていた
それに気がついたが町人は数人がかりでフラットレイを地へと押さえつけた
フライヤはとっさに起き上がった
「誰か・・スリプル草を・・・・」
地でフラットレイはもがいている
その姿はもはや獣のようだった・・・・
フライヤはそっと彼に薬を与える
地で暴れていた彼はやがて眠りに入った
「フライヤ大丈夫か??!!」
パックは静まった人ごみに中フライヤのほうに駆け寄った
「・・・・・」
黙って彼を見つめるフライヤ
「いったい何が起こったんだ・・・」
フライヤは痛む体を押えながらフラットレイの腕をつかんで持ち上げた
「フライヤどうするんだ」
「とりあえずほかの人に迷惑をかけるわけには行きません。一度うちへ連れて帰ります」
「1人で大丈夫か??!!」
「お気にせず・・・」
フライヤはそう言ってふらりと家へ帰っていった
「くそ!!なんなんだよ!!どうなってんだよフラットレイ・・・」
パックは泣きながら怒鳴っていた
その人ごみの中にはただ一人平然とその様子を見るものがいた

家についたフライヤはフラットレイをそっとベットに運んだ
そして鏡を見ていた
長かった彼女の髪はもはや肩の少し下までしかなかった
ため息をつくとフラットレイを見つめた
あの時の彼はただ平然とした顔で自分を殺そうとした
どうして・・・・?
自分のことが憎いのか・・・
それとももっと別のことなのか混乱する自分の脳裏を何とか押えようとした

フライヤは鏡を見ながら髪を切りそろえた
あまりに急激な出来事でフライヤは疲れ果てて眠りについた
月明かりが2人を照らしていた
しばらくしてだった
眠りについていたフラットレイはふと目を覚ました
ぼ〜っとしながらあたりを見渡した
そこには床に寝そべっていたフライヤがいた
フラットレイはそっと起き上がるとフライヤの方へ近ずいていった
そっと手を伸ばしフライヤに触れようとした
フライヤが何かにきずいたのか目を覚ました
「あ・・フラットレイ様・・・お目覚めになりましたか」
フライヤは慌てて上体を起こした
フラットレイはなぜかフライヤに背を向けた
「??」
彼はいっこうに喋ろうとしない
彼女ははそれに気付いたのか黙り込む
そうまだフラットレイの様子がおかしいままなのかもしれない・・・
そう考えたフライヤ
彼女はゆっくりとフラットレイに近づいた
フラットレイは振り返ったかと思うとフライヤを押し倒した
フライヤは一瞬何が起こったかわからなかった
彼はそっと彼女の頬に手をやった
「フラットレイ様っ・・・・」
その手はそっと首筋へと下ろされた
「う・・」
フラットレイの手に力が入ったかと思うとフライヤの首を締めつける
息が出来ないフライヤ
さっきまでとは違い狂ったようなフラットレイ
「く・・くるしい・・フラット・・・レイ様・・・」
あまりの苦しさに目を閉じた
そこから一粒の光り輝くものが溢れ出してきた
それを見た瞬間フラットレイの様子が急変した
急に頭を押え苦しみだした
フライヤはその隙を見て腕から抜け出した
「げほっげほっ!!」
開放されたフライヤはすでに息が上がっていた
「フラットレイ様!!」
慌ててフライヤはフラットレイのそばへ駆け寄った
「・・・・フライヤ・・・?ここは・・・・」
「フラットレイ様!!元に戻ったんですね!!よかった・・・」
フライヤは細い腕でフラットレイを包み込んだ
フラットレイはまだすべてに理解できていないようだった
そんな時彼はふと気がついて彼女から少しはなれた
「フライヤ・・・髪が・・・」
「あ・・・・・」
フライヤはぎくりとした
フラットレイは幸いにも何も覚えていない
もし思い出したりしたらただではすまないだろう
そんなことを思ったのかフライヤは
「いえ、少し邪魔だったので・・・」
「・・・そうか・・・」
フラットレイは何かを思いながらもう一度フライヤの胸の中におさまった

次の日だった
朝フライヤが目覚めるとそこにフラットレイの姿はなかった
その時何かいやな予感がした・・・
フライヤは着替えると慌てて家を出て行った
この胸騒ぎを確かめるために

フラットレイは近くを散歩していた
「フラットレイか??」
パックが元気良く走ってきた
フラットレイはその場に肩膝をついた
「おはようございます」
フラットレイはいつもの笑顔でパックを迎えた
「フラットレイ・・・お前正気に戻ったのか??」
「・・・・・」
フラットレイはそっと下を向いた
「ん??どうした??」
パックが顔を覗き込んだ
「パック王子・・・昨日私は何をしていたのか良く覚えてません・・・
 どうしても思い出せない・・・・教えてください・・・昨日私は何を・・」
「フラットレイ・・・ほんとに覚えてないのか・・・?」
「はい・・・・・・」
パックはしぶしぶ昨日のことを話し始めた

「俺は途中から見たから良くわかんないんだけど俺が行った時にはすでにお前の様子がおかしかったな」
「どういうふうにですか」
「・・・槍を持ってフライヤに」
「斬りかかっていたんですか・・・」
「・・・・・」
「・・・ではフライヤの髪は・・・・」
「その時に切れたんだよ・・・・」
「そうか・・・・その後私はどうなったんですか??」
「その後・・・髪に気を取られてるフライヤを槍で突き飛ばして・・・」
何も知らない彼はさらに下を向き考えなおす
パックは少しフラットレイを気にかけ一度止まるがまた話し出した
「んで倒れたフライヤの目の前にいったんだけど途中でお前の動きが止まったんだよ・・」
「なぜ・・・?」
「いや・・俺は良く分からないんだけど手が震えてたようなきがした」
「そのあとはどうなったんですか???」
「その後取り押さえられてスリプル草で眠らした」
「そうですか・・・それで私はフライヤの家に連れて帰られたんですか・・?」
「ああ・・・」
フラットレイは自分の手を見つめた
見ていたかと思うと今度は強く拳を握り締めた
その時だった
遠くから一人の人物が現れた

「パック王子!!フラットレイ様!!ここにいましたか・・・」
「フライヤ・・・」
フラットレイは下を向いたままだった
「フラットレイ様・・・?」
フライヤはそっとフラットレイに歩み寄ったが
「お願いだフライヤ寄らないでくれ・・・また私はおかしくなってしまうかもしれない・・」
「フラットレイ様・・・パック王子まさか・・・」
「ああ・・・俺が言った・・・だって何も知らないままなんて・・・」
「・・・・・・・」
「ごめん・・・」
「そうですか・・・・・フラットレイ様どうかそのようなことを言わないでください・・・」
「私は今まで守ってきたものを自分手で壊そうとした・・・大切なものを・・この手で・・」
フラットレイはまた拳を握りなおす
先ほどよりもさらに強い力で・・・
「やめてくださいフラットレイ様!!」
「私はいったいどうすればいいと言うんだ・・・」
フライヤはなにを思ったかそっとフラットレイに近づくと彼の手をそっと両手で包み込んだ
「お願い・・・何も考えないでください・・・」
「そんなこと・・」
「貴方は何もやってない!!貴方は何も悪くない!!だからもうやめてください」
彼女の手の上にぽたりと滴がこぼれた
「フライヤ・・・・」
フラットレイはもう片方の手で彼女の頬に静かに触れると親指で涙をそっとふき取った。
彼の握りしめたもう片方の手から少しずつ力が抜けていった
パックはやれやれと思いながら二人の邪魔をしないように見ていた
朝の冷たい風が吹いていた

「・・・っ」
「どうしたフライヤ?」
「いえ少し寒かっただけで・・・・・急いで出てきたから上着を忘れてしまって・・・」
「そうか・・・」
そう言うとフラットレイは彼女を自分の方へと押し付けた
「!!!」
「どうだ・・・少しは温かくなると思うんだが・・」
彼女は少し顔を赤くした
フラットレイの体温がじかに伝わってくる
それは温もりと共にしばらく失われていた心の温かさがあった
「はい・・・とても温かいです・・・」
フライヤはこの幸せがずっとつづいて欲しいと心から願った

誰もいない朝の小道
少し寒いけれど彼女にとってまた彼にとってもそれは幸せだった
2人はしばらくそのままだった
「なんだ・・・元に戻ったのか」
二人ははっとして顔を上げた
突如子供のような声がしたがそれは明らかにパックのものとは違っていた
「だれだ!」
フラットレイはフライヤを自分の後ろへやった
そこには笛を持った一人の少年が立っていた
「面白かったのに」
少年は笑いながら彼を見上げて言った
「まさかおぬしがフラットレイ様を!!」
「素敵な人形だったのにな〜」
「貴様!!」
「まてフライヤ!!」
フラットレイは持ってきていた槍を右手で握りしめた
「どういうつもりなのか聞かせてもらおうか・・・」
「君たちに言う必要は無い、ただそこの女が邪魔だからさ」
少年の指は明らかにフライヤをさしていた
「どんな理由があるかは知らないがフライヤと戦いたいならまず私の屍をこえてゆけ!!」
その言葉と同時にフラットレイは少年に切りかかった
「何?質問タイム終わり??」
馬鹿にした感じでそう言った
すると少年は笛を吹きだした
「こんな時に笛を・・・」
その瞬間フラットレイが地面に手をついた
「フラットレイ様!!!!」
「くあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
すんだ笛の音と共に響く痛々しい叫び声
フライヤはキッと少年を睨んだ
にっこり微笑みながら笛を吹くのをやめた
「そんなに怒らないでさ気楽に行こうよ」
「気楽にじゃと!!」
「そ!気楽に、ちょうど人形も動き出したことだしさ」
「なんじゃと!!」
フライヤの目の前でフラットレイがまた急変した
「・・・・・・」
「さ!!バトルスタートだよお姉ちゃん」
合図と同時に彼の槍がフライヤに向けられた
次の瞬間紅の槍が彼女に襲い掛かる
槍を持っていない
槍があれば受け止めることができるのだが丸腰の彼女はただ交わすしかなかった
「なかなかしぶといね」
「く!!」
「昨日は何とか交わせたけど今日はかわしきれるかな??」
「なに!!」
「よそ見してる暇は無いよ」
少年の言葉に気を取られてる隙に槍が振り下ろされた
フライヤは慌てて交わしたが
「ほら、言ったじゃないか」
彼女はとっさに右肩を抑えた
腕からは血が流れていた
「う〜んでもなんか面白くないな〜ほかに楽しいことは無いかな〜」
迷っていたかと思うとパッと何かを思いついた
「そうだ!!別にお姉ちゃんを殺さなくったって苦しめるほうほうはいくらでもあるんだ」
少年はうれしそうに微笑んだ
「どういう意味じゃ!!」
その時フラットレイの動きが急に止まった
少年は無抵抗なフラットレイのほうに手を向けた
「このお兄ちゃんを殺ればいいんだ」

このお兄ちゃんを殺れば話が早いね」
「私が狙いなら私を殺ればいいであろう!!」
「だめだね、もう決めたんだから」
少年の手に光が集まり始めた
「な!!」
その瞬間1つの光が放たれた
「フラットレイ様!!」
草木が切り裂かれた
それはまるで華が舞うように
彼は一行に動く気配が無かった
もちろん直撃だった
ドサッ!!と倒れる音がする・・
「ぅう・・私はいったい・・」
倒れたと同時に頭を打ったのか彼は正気を取り戻した
しかし彼の目に入ってきたものは
「・・・フライヤ・・?」
傷だらけになった彼女だ・・・
とっさにフライヤは彼のたてとなったのだった・・・
さっきまで抱きしめていた白い肌とはうって変わって紅い血が流れ出ていた
「フラット・・・レイ様・・お怪我はございませんか・・・?」
「私は大丈夫だ・・・しかし君が・・・・」
「よかった・・・無事で・・」
かすかな声だった
安心したのかフライヤはそのままぐったりと倒れてしまった
「こうなると思ったよ。こんなにことが上手くいくとは思わなかったよ」
フラットレイは少年を睨みつけた
「そんな恐い顔しちゃって、君には自滅してもらおうかな」
少年はまた笛を取るとまた吹き始めた
フラットレイは慌てて耳をふさいだ
美しくも優しくも無い響き・・・
笛の音があたりに広まってゆく・・・
しかし・・・
「な、なぜだ!!なぜ狂わない!!」
戸惑う少年
「お前の力はそんなものか・・・」
自分でもわからないがなぜか笛の音を聞いても何とも無い
「な!!何だと!!」
少年はもう一度笛をふきだした
だがそんなものはもはや無意味だった
「来ぬならこっちから行くぞ!!」
フラットレイは槍を握りしめ目を閉じた
「ち!!」
少年は呪文の詠唱を始めた
「桜華狂咲!!」
「ファイジャ!!」
2つの攻撃がぶつかり合う
ほぼ互角だ
彼はふと後ろを向いた
自分のために傷ついたフライヤ
フライヤのためにも負ける訳にはいかない!!
「風の竜よ!我に力を!!いまフライヤを守るための力を!!」
花びらとともに竜の力が強まってゆく
やがて少年の魔法は威力が落ちていく
「ど、どういうことだ!!僕が負けるのは・・・」

   計算外だ・・・

その瞬間光が少年を飲み込んだ
フラットレイはそれを見届けるとフライヤをそっと抱きかかえその場を去った





まつちゃんより、竜騎士シリーズ最終話です。
これで最後なのですが・・・あぁもう、2人の愛は強いなァ!
素敵な連作、本当にありがとうございますっ!!!




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