触れたい…でも大事にしたい…急に大人になってしまった。

きみもぼくも。

思春期


ある日突然触れちゃいけないと思った。

俺はクラピカのことが大好きで…いつも意味もなく抱きついたり・手をにぎったりしていた。
クラピカも嫌がらなかったし、俺はすごく幸せだった。

でも、この前は違った。

いつもの様にじゃれついていたら、クラピカがしょうがないなというように微笑んだ。
それはよくある光景だったし、慣れているはずだった。
でも違った。
可愛いと思った。
そしてドキって心臓がはねた。

はじめて自分を怖いと思った。

だって、その時どうしようもなくクラピカが欲しくてたまらなくなったんだ。
クラピカが嫌がったとしても、無理矢理口付けて…それから……。
そうしたいと強く願った。
でも、もしそうしたら嫌われる事が解っていた。

だから、逃げた。

なんにも言わず、その場から走って逃げ出した。
クラピカがなんか叫んでたけど、聞く事は出来なかった。

 

それから俺はクラピカを避けつづけている。

寂しそうにこっちを見てるクラピカに気がつくとズキッて心が痛むけれど…、
でも、そうしないと傷つけちゃうから…。

好きだから大事にしたいって気持ちはあるのに、なんでだろう?
意識せずにいられないんだ。
甘い香りがするたびに、欲情しちゃうんだ。
どうしてだろう…?
こんな俺、クラピカ嫌だよね?

 

 

そんなまま一週間が過ぎた頃、ついにクラピカが怒った。

「なんで私の事を避けるのだ!?」
俺を自分の部屋に引っ張り込んで、逃げないように鍵をかけた。
そして、椅子が荷物を置いちゃっていて使えないからってベッドに俺を座らせた。
よりによってこんなシュチュエーション…。
もうヤバイのに…俺…限界なのに…。

「別に避けてなんかないよ…。」
頑張って平静な振りをし、素っ気無く答える。
でも心の中では焦っていた。
早くこの部屋から出ないと……。
目をそらそうとすると両手で顔を挟まれ真っ直ぐに見詰められた。
「嘘だ!!いきなり変ではないか?言いたい事があるならはっきり言え!!
そういう態度をされるとこっちとしても迷惑だ!」
迷惑なのはこっちだよ…。
どれだけ俺が我慢してると思ってるの?
大体言えるわけないじゃないか。

クラピカに触れると抱きたくなるなんて…。

言ったら困るくせに…。
俺のこと嫌うくせに…。

俺の嫌そうな顔を見て、クラピカは両手を離した。
そして下を向くと、
「キルア…その…なんというか…。つまり私は寂しいのだよ。」

え?
決まり悪そうに頬を染めながらいきなりそんな事を言ってきた。
「いつも傍にいたのに、いきなり避け始めて…私は訳も解らない…。
訳も解らないからどうすれば良いかもわからない…。でも、聞いても教えてくれない…。
なら私はどうすればいいのだ?」
…クラピカは俺に傍にいて欲しがってる?
「どうすれば…お前は…。」
どうしよう、クラピカが泣いちゃった。
やだよ…。
クラピカにはそんな顔して欲しくないよ…。
だから避けてたのに、俺のやってきた事は間違ってたの?

「ごめん…ごめんねクラピカ…。もう避けないから泣かないで…。」

恐る恐る近づいて涙を拭ってやる。
柔らかい肌…。
やっぱりドキドキする。
限界を超した体が震える。
それでも俺は必死に抱きたいという欲を我慢した。
『欲』よりも『大事』にしたかったから。

「キルア…私のこと嫌いになったわけではないのだな…?」
少し怖がっているのか微かな声だった。
俺に嫌われるの嫌なの?
「違うよ…。大好きだよ。」
ほっとしたように息をつくのが判った。
「よかった…。」
涙のたまった瞳でにこって笑う。
……どうしよう…。

クラピカの腕を引っ張って自分の方に引き寄せる。
そしてぎゅっと抱きしめた。
今まで何回もこうやって自分の中にクラピカを閉じこめてきたけれど、
それとは違う抱擁だった。
ぎゅってさらに力を入れる。
「っつ!…いたいっ!!」
クラピカが逃げようとするのを妨げるように強い力で抱きしめる。
「キルア…っ!!やめ…本当に痛いってば!!」
そんなせりふ聞かずにクラピカの肩口に顔をうずめる。

「好きだよ…っ!!」

苦しい声…心臓が締め付けられる様な告白。
今までの好きとはレベルの違う強い『好き』。
知らないうちに涙があふれてきた。
「クラピカが好きなんだ…。」
「……。」
クラピカは暴れるのを止め、何にも言わず、何にもせず、ただ俺の言葉を聞いていた。
「でも怖いんだ。」
言おうかどうか悩んだ。
言ってしまったら軽蔑されるかもしれない。
でも、言わないと解ってもらえないんだ…。

「クラピカに触れると怖いんだ…。抱きたくなって…止まらないんだ…。」

後はポツリポツリと胸に隠しておいた言葉が自然に出ていった。
「でも、クラピカが嫌がる事したくなかったから、我慢しようと思って…でも傍にいると我慢できなくって…だから…。」
後はしゃっくりが邪魔して言葉にならなくなってしまった。
俺はクラピカを抱きしめたまま暫く泣き続けた。

 

 

ポンポン…。

どれくらい経っただろう?
俺の嗚咽が止まる頃、クラピカが軽く俺の頭をたたいた。
なだめるように優しく。

「ありがとう…。」

…。
どう反応していいか分からなかった。
思ってもみない反応だったから。
嫌がられたり軽蔑されるとばかり思ってたのに…。
「な…んでありがとうなの?」
「我慢してくれたのだろう?私のために。」
いたずらっぽくウィンクするクラピカ。
そう言われると照れてしまう。
でもこくんと正直に頷く。
「それがすごく嬉しいから…。
キルアはもう12歳だろう?そういう気持ちが出てくるのは自然だ。
それに男というものは大体助平だ。それを否定する事は変だろう?
キルアがそういう気持ちになる事を、私は当たり前だと思う。
それより、私のために我慢してくれた事が嬉しい。」
にこっと笑ってくれる。
それがどんなに俺の心を軽くしてくれているか知らないんだろうけれど…。

「…嫌じゃないの?」
まだ少しある不安がそのせりふをはかせる。
「…嫌じゃない…とは言えない…。
やっぱり、いきなり襲われたりするのは嫌だし、そういうことに対する…恐怖みたいなものもある。
だが…そういう恐怖より、キルアが傍にいない寂しさのほうが私は嫌だよ…。」
温かい気持ちで満たされる。
この人はなんでこんなに嬉しいことばかり言ってくれるんだろう?
「つまり、キルアが離れていくくらいなら…私は…その、
だ…抱かれるほうを選ぶぞ…///。」

俺のために一生懸命な人。
ありがとう。

隙をついてちゅっと軽いキスをした。
クラピカは驚いて、真っ赤になる。
「不意打ちなんてずるい…。」
拗ねても可愛いや。

「ねぇ、抱いてい?」

愛しい人は、クスって笑って頷いた。
泣いてた俺もいつのまにか笑顔になっていた。

 

大人になったきみ。
俺をドキドキさせる。
大人になった俺。
欲を覚える。
『大事にしたい』『触れたい』どっちも本当で、
壊れそうなギリギリで理性が支える。

でも、君が受け止めてくれたから…。

ありがとう。大好きだよ。





純粋です。爽やかです。アオカジです。
悩むキルアもクラピカも可愛すぎですv




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