虚無


  突然の出会い…。
  場違いなあんた。

 

 

  おっさんが俺に文句言ってきたこと殺したいくらいむかついたけれど、
  あんたと知り合いになれるきっかけになったから
  感謝したい。

 

  ずっと無表情で走ってたあんた。
  でもあんたを盗み見てた俺と目が合うたび微笑んでくれた。
  その度、俺は慌ててしまって避けるように目をそらしてしまった。
  そんな俺を不思議そうに見てた。

 

 

 

  何もかも諦めてしまった俺に、願いが叶うことを教えてくれたのは、
  俺の指先にそっと触れたあんただった。

 

  疲れた俺に、安らぎを教えてくれたのも、
  あんただった。

 

 

 

  細い身体。
  壊れないように恐る恐る抱きしめたことを覚えている。
  ささやく様に小さな声で俺の名を繰り返しつぶやいていた。

 

  はじめて人に受け入れてもらえたことが嬉しくて、
  涙が止まらなかった。

  「どうしたのだ?」

  心配そうに俺の顔を覗きこみ涙を拭いてくれたあんたを自分の腕の中に閉じ込めた。
  あんたははにかんで俺の胸に頬を寄せた。

 

  愛してる。
  それは奇跡。
  そんな感情生まれるはずがなっかたのに。

  愛される。
  それはありえないこと。
  俺は愛してもらえるはずがなっかったのに。

  0だった確率。
  でも、愛し合えた。
  それは運命。

  神様がおこした気まぐれ。

 

  温かかった。
  幸せだった。

 

 

 

  でも気まぐれはそんなに長くは続かない。

 

 

 

  二人寄り添っていた部屋を見渡す。
  そこにあんたは居ない。
  どんなに探してもう見つけることは出来ない。
  逝ってしまったあんた。
  置いていかれた俺。

 

  二人で暮らした部屋の中うずくまる。
  まだ残っているあんたの香、温もり、

  ……存在感。

 

 

 

  どうして誰もいないこの部屋で身体が震えるの?
  教えて…。

 

  今顔ヲアゲルトアノ時ノママノアンタガ今モイル気ガスル…。

 

  どうして誰もいないこの部屋で涙がこぼれるんだろう?
  教えて…。

 

  モウ一度抱キシメサセテ…。





「華」のSMELL様よりv
切ない。。ぐっと来ます。。
因みにGacktの某歌からだそうです。




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