―赤い童話―


何も無い乞食から一国の王にまでなった1人の男がおりました

男は国だけでなく世界が欲しいと願っていたけれど

王になった時すでに老いており、世界をとるにはあまりにも人間としての時間が足りませんでした

そのうち病の床に伏せり、二度と王座に戻ることも叶わなくなりました

しかし、その欲は深く、死の間ぎわついにクロロという悪魔と契約を交わし自分の命と交換に願いを叶えた

3日の後に王は息をひきとり、主のいなくなった世界には

悪魔の狙いどおり混沌だけが残り

人々は絶望し、狂気のために自ら命を絶ち、混乱のために殺し合った



――男にはこうなる事がわかっていながら、それでも子供の頃からの夢を叶えたかったのかもしれない



唯一助かったのは男の命と共に悪魔に差し出された一人娘のクラピカだけだった

魔族と契りを交わした者は人間界にはいられず

クラピカだけは魔界に隠れ住んでいたので、この混沌からは逃れていたのだ



クラピカは美しく聡明で、クロロはこの哀れな姫を愛していた

また、クラピカもクロロの悪魔とは思えない自分に対する優しさに惹かれつつあった、が

いつものように体を重ねた後

クロロの腕の中でクラピカはずっと胸に秘めいていた願いを悪魔に訴えました

「私の命とひきかえに人々を救ってくれないか」

はっきりと、震える声で・・・・

例えソレがクロロの怒りを買い、そしてもしかすると何の意味も為さない愚かな事であるのを知りながら

クラピカのココロは固く固く決まっていました

しかし、クロロはクラピカのその思いを聞き入れませんでした

「お前の体は王によって私に捧げられたもので、それを贄としてお前の願いを叶えるのは契約に違反している」

冷たく、悪魔らしく、けれど泣きながら

クロロは本当にクラピカのことを・・・・





けれど日に日に酷くなる民たちの生活にクラピカは胸を痛めずにはいられませんでした

魔界に来てからも優しさを忘れられずにいたクラピカは

実の父親によってひき起こされた悲劇を黙ってみていられるほど非情にはなれなかった

自分はクロロと一緒にいるだけで幸せを感じているけれど

人々は今も血と涙を流して悲しみに身を焦がしているということを想像するだけで

瞳が緋の色にかわったそうです

それは、クロロのことを思っていたのかもしれないけれど・・・





少し日が経ってから

考えたクラピカはクロロに言いました

「お前に差し出されたのは私の体だけで、私の命とココロはまだ私のモノだ・・・だから・・」

次の瞬間クラピカは何も考えないお人形になってしましました

「ココロまで・・違うのか?」

クロロは哀しみ、人形になったクラピカを抱きしめながら

人間たちと、その姫を恨みました

自分に愛というものを教えた、今はもう美しいだけの人形になった恋人に深いくちづけを落として・・

そして2人は闇に消えた







人々に平穏が訪れることは無く

クラピカはいつまでも幸せそうな顔でいたそうだが

そこには後悔だけが残り

クロロは絶望し

その後どうしたかは誰も知らない



何も

何も終わらないままに

物語の幕だけが静かにひかれた





ちいやんのHPが閉鎖するときにお嫁にいただきました。
この雰囲気が大好きです。切ないというかなんというか・・・
悪魔がクロロというのにも惹かれますv




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