二十三夜に願いし


 1つの置き手紙を残し、フライヤはパーティーを抜けた……。
「……うっ……」
 ブルメシア。現在、家を戦火により失ったものたちの住まいとなっている兵舎。
 その中の一室。フライヤの部屋は…彼女が国を出た4年前から手を着けられていなかった。
「っうう……ひっく……」
 その中で、自分のベッドの中で、フライヤは泣いていた。
 原因は……もう20日以上前のこと。
 サラマンダーに無理矢理抱かれた事。
 逃げるようにパーティーを抜け、行くあてもなく結局ブルメシアに戻ってから。
 毎日、泣いていた。
 自分でもそんなのはイヤだと思った……が……。
 涙を止めることは出来なかった。
 ベッドの中に居るのに拘わらず冷え切ったような重い身体と、絶え間ないふるえをどうすることも。
「っう……っく……」
 その時。窓に影が差した。
「誰じゃ!?」
 反射的に身を起こし槍に手を伸ば…そうとしたが、食べるものも食べておらぬ身、貧血の様な状態になってしまった。
 くらり、と、めまいがして座り込む。
 そっと、窓が開けられて。
 彼女はその光景を信じられない、という様子で眺めていた。
「フラット…レイ…様……?」
 よもや彼がここに来るなどとは思いもよらなかったフライヤ。
 ゆっくり、入ってくるフラットレイ。
「……夜分にこのような所から済まない……だが……月を見ていると居てもたっても居られなくなったのだ……。
 それに……フライヤ……記憶はなくとも……愛しさがこみ上げてくるのだ…」
 
「!! ……済みませぬ……私にそのような資格など……フラットレイ様に……そのような……」
 そう言いフライヤはまた、大粒の涙をこぼした。
「どうしたというのだ!?」
 やや慌て気味のフラットレイ。
 やはりこのような時間に突然訪ねてきたのが悪かったのだろうか? 等とも思いながら、とにかく彼女を慰めようと言葉を探す。……結局見つからなかったが、 せめて抱きしめようと手を伸ばすと。
「!!!」
 びくり!! と身体を震わす。
「あ…ひっく……すみ…ませぬ……」
 いくらなんでもこれは尋常ではないと悟ったフラットレイは、彼女の腕を取りゆっくり引き寄せると、包み込むよう抱きしめ囁くように尋ねた。
「……何があったのだ?」
「聞かないで……下さいまし……」
「……話してはくれないのだね?」
 悲しそうな表情を見せたフラットレイに……フライヤは。
 身を預けて更に泣き出した。
「っ…うううっ…サラ…サラマンダー、が……わたっ…しに……無理矢理……」
 すみませぬ、すみませぬ!! と、肩を震わせ泣きじゃくるフライヤをあやすように軽く背中を叩き。
「……大丈夫だ」
 お前はそんなことで汚れたりしない。
 そしてフラットレイはフライヤを優しく抱き締めた。
 やはり、びくっと震えるフライヤ。
「大丈夫だから……」
 背に回した手に少し、力を込める。
「怖がらないで……私は違う…」
 フライヤの脳裏に、どうしてもあのことが閃き、苦痛を与えていく。
「大丈夫だ」
 フラットレイはもう一度、その言葉を繰り返した。
 ゆっくり、深いキス。
 ……頭の芯がしびれ溶けていく。
「ふ……ぅ…ん…」
 フライヤの全身から力が抜けていく。
 くたり、と、完全に体重をフラットレイに預けるに至り、彼は彼女を横抱きにして寝台にそっと横たえた。
 そっと、彼女にいらぬ不安を与えぬよう、彼女の衣服をはぐ
 茹で卵の薄皮をむくようにやさしく。
 小刻みに肩を震わすのをそっと撫でる事で止めようとする。
 完全に彼女を脱がせ、自身も身に纏うものを滑り落とし。
 震えるフライヤをそっと抱きしめた。
 



 決して急かさぬよう、決しておびえぬよう。
 ゆっくり、ゆっくり、フラットレイはフライヤの全身に走る緊張をほぐしていった。
 最初はただ身を固くしていたフライヤも、少しずつフラットレイの動きに応えるようになる。
 自らの身体を解放して行く。全身に走る熱を…。
「んっ……ふ…ぅ……ぁ…ん……」
 焦らすように愛撫を続けるフラットレイ。
 彼女の全身に、所有を表すかのような自らの刻印を散らし。
「んっ……!?」
 彼女は一瞬はっと目を見開き。
「あっ…あ…あああっ!!」
 びくんっ! と全身を震わせ仰け反った。
 真っ白になったフライヤの意識が回復する前に。フラットレイは彼女の聖域に手を述べた。
「っ…やぁっ…ん……」
 身をよじるが、解放される訳もなく。
「ぁっ…ふぁ…んんっ……」
 胸とそこを一度に攻められまた高みへと向かう。
「あぁんっ…」
 器用な彼の指が彼女の敏感な部分を次々探し出し刺激を与えていく。
「んんんっ……ああぁん……」
 白い肌が桜色に染まりゆく。潤んだ瞳で見つめられ、理性のたがが飛ぶ…。
 もう既に彼を受け入れる用意が調っていることを確認し、フラットレイは体勢を変えた。
「……愛している」
 たとえ昔の記憶が無くとも。
 以前の彼女を知らなくとも、今。
 もう一度、深いキスをして。
 フラットレイは聖域に踏み込んだ。
 彼自身の進入は、彼女に新たなる快楽と幸福感を与えた。
「ああ…っああああああっん……」
 息も絶え絶えに、彼の背に回した手の指先に力が込められる。
「ふうっ…あああ…ああああっ…ん…」
 わずかな動きにも敏感に反応する。
 その様子が、愛しくて。
 抱きしめる手に力をこめて。激しく、やさしく、慈しみつつ突き上げる。
 彼女のほうは…そうして彼が動き、突き上げられる度、身を震わせ歓びの声をあげる。
 周りを気にしている余裕などは既に彼女には無かった。
「んっ…はぁ…あっ…あああっ…あんっ……」
 身を襲う快楽の渦に翻弄され…。
 

 2人は共に高みを目指した。
 

 激しい痙攣を伴い絶頂を迎え…今は静かに眠る彼女にそっと上掛けをかけなおし、自らは起きあがった。
 今日自分が取った行動を売り返り、苦笑した。……いきなり訪ねていって……。
 しかし彼女はそんな自分を受け入れてくれた。自分も彼女の全てを受け入れよう、と、そんな決意をして……彼はまた、彼女の横に滑りこんだ。
「……私が来る前に起きた辛い出来事は忘れなさい…」
 やさしい声音でそう呟き、やがて自身も眠りに落ちた……。
 

 翌朝彼女が起きあがれなくなったのは言うまでも無い。
            ちゃんちゃん♪





月シリーズ第4段v
前回の続きということだそうです。
フラフラにもどりましたね!梅さんのふらふら大好きです^^!




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