鍵の掛かる部屋



蛭湖の家。ソファ。深く沈んで、彼に凭れる。音のない部屋。
まるで哀れな子供のように寄り添いあう。触れ合った肩が暖かい。
それでも。
それは甘い空気だとか、ロマンチックなものじゃなくて。
どうしてだろうね、すごく、切ない。

「ねぇ」

やけに声が大きく響く。
なんだ、と視線で問いかける君。

「ボクのこと、すき?」
「……何を今更」

怪訝そうな顔。

「必要?」
「もちろん」

きっとボクの突拍子もないような台詞にはもう慣れっこなんでしょ。
わかってる、よ。
君はボクが好きで、ボクも君が好き。
そんなことは。

「ならキスしてよ」

しょうがないなって顔をして、目を閉じてゆっくりと口付けてくれる。
君は何処までも優しくて、泣きそうになる。衝動を必死で抑えた。
ボクは目を開けたまま、だんだんと深くなる口付けを受け入れた。

そのあとはもういつも通り。
君はボクを優しくソファに横たえる。
いつだって君は優しくて。
一度でも無理やり押し倒したりだとか、僕を気遣わなかったことなんて無い。
それがボクへのアイの表れなんだってことは十分承知しているつもりだし、ボクだって純粋に嬉しいと思う。
ねだれば与えてくれる愛撫も口付けも言葉も。どれも。とても、嬉しい。
でも。
いつでも、どこか違和感が拭えない。
甘ったるい不安なんかじゃなくて。
君を疑っているわけでもなくて。

でも。


「ねぇ蛭湖」

君の背中に手を回して、

「大好きだよ」

額に、瞼に、そして最後に唇に降りてくるキスを受け止める。

「ああ、私も愛しているよ……葵」

大好きな蛭湖。
いつだって嘘の無い言葉はとても嬉しくて愛しくて。

でも。
なんでだろうね。

君の言葉より、君の指先の方が気になって仕方がないんだ。
視線よりその舌先が、ボクの意識を支配する。
首筋を伝う指が、
胸を這う舌が。
とても、熱くて。


いっそのこと、無理矢理に抱かれて、滅茶苦茶にされて、そしてぽいってゴミみたいに捨てられてしまえたなら。

……よかったのかな。









大人な蛭葵を目指してみたのですがなんかただの電波になりました^^
なんか、情緒不安定気味な葵というか。ほら、欠陥品だし(禁句
あ、ちゃんとお互い好き合ってます大丈夫です。
葵ちゃんが心配性なだけです。分かってるけど心配なのー、みたいな。




















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