Gebet



相変わらずの美しい肢体を隠そうともせずにシャワールームから出てきた姿を見て、どきりとした。
まず先に目を惹いたのはその妖艶な白い素肌から流れる真っ赤な血液。よく見れば、その赤い筋は体のあちこちから滲み出ていた。
綺麗に洗われた体を彩るように赤い血が映える。真新しい傷痕が無数にその体のいたるところを彩っていた。
ああ、見るに耐えない。
本人はさして気にも留めないといった様子で浴びた湯の水滴を血液ごと拭きとってゆく。手にしたタオルはじんわりと薄く赤い染みを作る。
銀色の髪の先からぽたり、と落ちる水滴は美しいながら、まるで主の代わりに痛みを主張する涙のように思えてならない。
その涙はきっと痛みのせいではないのだろう。
痛みすら言葉にしない人だ、胸のうちにはどれだけの悔しさと悲しみと怒りが渦巻いているのだろうか。
いつもは流暢に言葉を発するその口が今日に限ってきゅっと結ばれている。薄桃色に濡れた唇が、何かを堪えるかのように小さく震えている。
彼の余裕の表情が、白く妖美な肢体が、血に汚されているようで。どうして、この悔しさを隠せるだろうか。
いつものようにローブを鼻の先にひっかけて彼に差し出せば、完璧に感情を隠したまま薄く微笑んで自分に向き直る。
慣れた手つきでローブを受取りさっと羽織れば、傷も血も隠れてしまった。
「ああ、お前も傷ついてしまったね。その銀の翼に傷が残らないと良いのだけど」
優しく鼻の先を撫でる手つきは、いつも通りなのに。
自分の怪我など気にしてもいなかった。自分などどうでも良い、彼さえ無事でいてくれたら、自分は命だって惜しくはないのに。
どうして、彼を無傷のまま守ることができなかったのだろう。自分どころか彼も傷つけてしまっただなんて、なんと不甲斐無い。
思い上がったことを、と言われそうだけれど、それでも。
白いローブのあちこちに赤いしみができている、その姿を見ると思わずにはいられない。
「銀竜・・・?」
私には、彼が、全てなのに。
そっと自分の鼻先を撫でたまま、彼は少しだけ考えるそぶりを見せた。
おそらくは自分の感情など、彼には筒抜けなのだろう。
「そうだ、僕はしばらく眠るよ。銀竜、その間のこと、頼めるかい?」
彼はそっと私の目をのぞきこんで、穏やかに話す。
たった独り、孤独な彼が唯一寝室に通すのは自分だけだった。その事実は、なんと嬉しく誇らしいことなのだろうか。
決意は忠誠。今度こそ、完璧に彼を守って見せよう。
返事の代わりに、そっと跪いてそのすべらかな足の甲に口付けた。









なんだか不完全燃焼です、が。短いし。
あの、ゲーム中の危うくガーランドに殺されそうになったよ〜のあたりを想像していただけたら良い感じです。
なんかこう、クジャってすごい孤独な人よね。
ジタンみたいに仲間がいるわけでもなく、結局ガーランドにも運命で負けてたわけだし。
唯一心を許してるのが銀竜だったら良いなぁ、と、思って書いてみたけどなんかすごい中途半端ですね。いやん。
銀竜は唯一の信頼を忠誠心で返せるよう祈っていたらイイ。




















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