ーゼット



「ずっと君をしまっておけたらいいのに」
つい、言葉にしてしまった。それを聞いてジタンは怪訝そうに僕を見て、どこにだよ、と小さく笑う。
「どこかに。……そうだね、例えば、」
「まーったく、またよく分かんないこと言い出して。こんな部屋真っ暗にしてるから気分も暗くなっちまってるんじゃないのか」
僕の言葉を遮って、ジタンは僕に背を向けた。ふよふよとしっぽが揺れている。
シャ、と小さな音を立てて部屋のカーテンが開けられた。今まで遮断していた光がいっせいに部屋へと侵入してきて、僕は思わず目を細める。
「ほら、こんなにいい天気なのにさー」
逆光で、一瞬ジタンの姿が見えなくなった。
そしてまた、胸の奥がずくりと痛む。最初はごく小さいものだったその痛みは、最近になってじくじくと全身を蝕むように深くなってきている。
「……ジタン」
なに、と無邪気に振り返って僕を見る。
その青い瞳も、ひかりと同じ金色の髪も、僕には眩しすぎるよ。
「カーテン、閉めてくれないか」
感情を悟られないように言い放てば、不服そうな目を向けてくる。
それでも、僕が閉めてともう一度言い直せば、口を尖らせてぶつぶつと文句を零しながらもしょうがないといった風に再びカーテンに手をかけた。
再び小さな音を立てて部屋に暗闇が戻ってくる。けれど、先ほどまでとは違い少しだけ光が漏れている。その隙間を気にするでもなく、ジタンは僕に向き直った。
「少しは外に出ないと体に毒だぞ」
そう言って、僕をまっすぐに見る。そして他にも何か言いたそうに表情を曇らせた後、結局その先は何も言わないで僕の部屋から出て行った。
心なしか先ほどよりも低い位置で弧を描くしっぽの先を見つめながら、僕は痛みを堪えきれずにまたソファに深く沈む。目を閉じれば完全な闇が僕を包む。
「ああ、……ジタン、……僕は、」
僕はきっと君の望む通りには生きられないから。
いつか光の中へ君が消えてしまう気がして、本当は、とても怖いんだよ。
君は暗闇にいるべきじゃない。そんなことはわかりきってるのに、それでも、それでも。
君をどこか、暗い中へ閉じ込めてしまいたいと、僕だけが知っている場所に大切にしまっておきたいと願ってしまう僕は、きっと、君の明るさにさえ蝕まれている。









ヤンデレクジャたま。
多分二人は同棲してます。どこで、とかは聞かない。
そういえばジタンて明るいキャラだったよなァと思って書いたらこうなりました。
(だからって別にクジャは暗い子ではなかったはず)
付き合ってるのに片思い気分、クジャたまだってたまには不安にもなるさ。みたいな。何
・・・・・正直これタイトルだけ決めて一気にぱっと書きました。←




















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